つくってあそぼ終了の真相とワクワクさんの現在|23年の歴史と裏側
1990年4月の放送開始から2013年3月まで、NHK Eテレ(旧教育テレビ)で23年間にわたり放送された造形教育番組『つくってあそぼ』。トレードマークの赤いキャップと黒縁メガネでおなじみの「ワクワクさん」と、愛嬌たっぷりのクマの男の子「ゴロリ」が繰り広げる工作の世界は、平成の幼少期を過ごした世代にとって色褪せない共通体験です。
しかし、高視聴率と絶大な知名度を誇りながら、なぜ番組は突如として23年の歴史に幕を閉じたのか。ネット上で囁かれた不仲説や健康不安説の真相、ゴロリの声を演じ分けた名優・中村秀利氏の知られざる舞台裏、そして2026年現在を迎えたワクワクさんこと久保田雅人氏の精力的な活動まで、現場の記録と一次証言をもとに徹底解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:番組終了の決定打は不祥事や視聴率低下ではなく、NHKの幼児教育方針が「手順通りの模倣」から「自由な発想力の育成」へと大転換した番組刷新だった。
- 要点2:2013年3月の最終回で交わされた無言の「手旗信号」には、23年間の感謝と後継番組『ノージーのひらめき工房』へバトンを託す深い演出意図が込められていた。
- 要点3:ワクワクさんを演じた久保田雅人氏は2026年現在64歳。公式YouTubeや全国の巡回工作教室を通じて、世代を超えた「創る喜び」を今なお発信し続けている。
【終了理由の真相】なぜ23年の歴史に幕?噂の真偽とNHK編成改革の全貌
『つくってあそぼ』が2013年3月をもって終了すると発表された当時、視聴者の間には大きな動揺が走りました。ネット掲示板やSNSでは「ワクワクさんとゴロリの仲違い」「出演者の体調不良」「視聴率の大幅な低迷」など、根拠のない憶測が飛び交う事態となりました。しかし、当時のNHK制作局の発表資料や関係者の証言を丹念に追っていくと、終了の理由は極めて前向きかつ構造的な教育方針の転換にありました。
最大の要因は、幼児教育における学習指導要領の改訂と、それに伴うEテレ造形教育のパラダイムシフトです。『つくってあそぼ』は、前身番組『できるかな』(1970〜1990年放送)のスタイルを継承し、「身近な素材を使って、手順通りに正確な工作を完成させる模倣とスキルの習得」に主眼を置いていました。ワクワクさんが鮮やかな手さばきで見本を作り、不器用なゴロリがそれに挑戦して成功させるという構成は、工作の基本技能を教えるフォーマットとして完成されていました。
一方、2010年代に入ると、幼児教育の現場では「指示通りに作ること」よりも「子ども自身が素材と向き合い、正解のない自由なひらめきを形にする探求型学習」が重視されるようになります。NHKエデュケーショナルはこの要請に応えるべく、番組の全面的なリニューアルを決断。後継番組となった『ノージーのひらめき工房』は、まさに「失敗を恐れず、思い思いの作品を創造する」ことをコンセプトに立ち上げられました。
つまり、つくってあそぼの終了理由は人気の凋落ではなく、「身近な素材で工作する楽しさを定着させる」という23年間にわたる歴史的使命を完全に果たし切ったことによる、発展的解消だったのです。

噂の真偽を徹底検証|ネットの誤解と実際のギャップとは?
長寿番組ゆえに、インターネット上には事実と異なる都市伝説が今なお散見されます。デジタル空間に蓄積された噂の真偽を、公式な記録と関係者の言動から検証します。
まず最も多く見られる「ワクワクさんとゴロリ(操演陣)の不仲説」は、完全な事実無根です。久保田雅人氏は自著や特番のインタビューにおいて、ゴロリの操演を担当した古市次生氏をはじめとするスタッフ陣と、阿吽の呼吸で20年以上の歳月を共にした戦友としての絆を繰り返し語っています。リハーサルを最小限にとどめ、本番の瞬発力とリアルな掛け合いを重視していた現場の空気感こそが、画面越しに伝わる名コンビの温もりを生み出していました。
また、「ワクワクさんは本職の大工や造形作家である」という認識もよくある誤解の一つです。久保田雅人氏はもともと劇団に所属する本格派の舞台俳優であり、NHKのオーディションに合格した時点では工作の専門家ではありませんでした。番組の造形アイデアを手掛けていた専門スタッフ(造形作家のヒダオサム氏ら)の試作を、俳優としての卓越した身体表現と器用さで自分のものへと昇華させ、視聴者に分かりやすく提示し続けたプロフェッショナルでした。
【涙の最終回と名場面】ワクワクさんが最後に託した「手旗信号」とゴロリの絆
2013年3月30日に放送された『つくってあそぼ 最終回』は、過剰な演出をあえて排し、子どもたちへの真摯な敬意に満ちた伝説的な幕引きとなりました。
長寿番組のフィナーレにありがちな感傷的なセレモニーや大げさな挨拶は一切行われず、番組冒頭からいつもと変わらぬハイテンションで「トントン相撲」などの工作に没頭するワクワクさんとゴロリ。日常の延長として番組を楽しんでもらいたいという制作陣の強い意志が反映された構成でした。
胸を打つ仕掛けが用意されていたのは、ラスト数十秒でした。完成した紙の旗を手にした二人は、カメラに向かって無言で手旗信号を送り始めます。その動作を解読すると、浮かび上がった言葉は「ア・リ・ガ・ト・ウ」の6文字。そして間髪を入れず、新番組のキャラクターである「ノージー」が登場し、工作道具のハサミを手渡すという象徴的なバトンタッチが行われました。
『つくってあそぼ 主題歌』の軽快なメロディ(山川啓介作詞・福田和禾子作曲)がフェードアウトするなか、最後まで「工作のお兄さんと相棒」としての役割を全うした幕引きは、今も多くの視聴者の記憶に深く刻まれています。

【データ比較】『できるかな』『つくってあそぼ』『ノージー』の教育的変遷
NHK Eテレにおける造形教育番組の歴史的変遷を俯瞰すると、時代ごとの教育思想やメディア環境の変化が明確に読み取れます。半世紀にわたる3大番組の特性を比較・整理しました。
| 番組名 | 放送期間・数値データ | 工作コンセプト・素材 | 編集部の見解・教育的評価 |
|---|---|---|---|
| できるかな | 1970年〜1990年 (20年間・全764回) | 段ボール、新聞紙、発泡スチロール等の大型工作が中心 | 無言劇(パントマイム)による圧倒的な職人芸。見る側の想像力を刺激し、造形のダイナミズムを伝える黎明期の名作。 |
| つくってあそぼ | 1990年〜2013年 (23年間・約1,000回) | 牛乳パック、紙コップ、紙皿、輪ゴム等の家庭内廃材 | 「作って終わり」ではなく「作ったもので遊ぶ」体験重視型。家庭で完全再現できる実用性と手順の明快さを確立。 |
| ノージーのひらめき工房 | 2013年〜現在 (放送13年目へ突入) | 色画用紙、毛糸、落ち葉など多様な素材とアート手法 | 正解を定めない「ひらめき重視型」。指示待ちを打破し、非認知能力や主体的な表現力を引き出す現代型デザイン教育。 |
【ゴロリ声優・中村秀利氏の伝説】名優が吹き込んだ魂と遺された温もり
『つくってあそぼ』を語る上で欠かせない存在が、好奇心旺盛でちょっぴりおっちょこちょいなクマのキャラクター「ゴロリ」です。その親しみやすい声を23年間にわたり担当したのが、声優・俳優の中村秀利氏でした。
洋画吹き替えでブルース・ウィリスの声を担当するなど、シリアスな演技で定評のあった中村氏は、ゴロリを演じるにあたって「決して甘えた子ども声を作らない」というポリシーを貫いていました。大人の知性と子どもの純朴さを併せ持った絶妙なトーンで「ワクワクさ〜ん!」と呼びかける声は、視聴者の子どもたちにとって頼れる兄貴分のような安心感を与えていました。
しかし、番組終了からわずか1年9ヶ月後の2014年12月24日、中村秀利氏は60歳の若さで急逝されます。突然の訃報を受け、久保田雅人氏は報道各社の取材に対して「彼がいなければワクワクさんは存在し得なかった。最高のパートナーを失った」と深い悲痛を吐露しました。中村氏が魂を吹き込んだゴロリの台詞と温かい息遣いは、今もアーカイブ映像を通じて色褪せることなく生き続けています。

【2026年最新】ワクワクさん(久保田雅人)の現在とYouTubeでの挑戦
番組終了後、ワクワクさんは表舞台から姿を消してしまったわけではありません。久保田雅人氏は2026年現在64歳を迎えていますが、その情熱とバイタリティは衰えるどころか、新たなフィールドで加速しています。
もっとも象徴的な展開が、デジタル空間への進出です。2019年に開設された公式YouTubeチャンネル『わくわくさんの工作教室』は、往年のファンである親世代と、その子どもたちによる二世代の熱烈な支持を獲得。テレビ放送時代のような放送時間の制約がないため、ハサミの持ち方や紙の折り方のコツ、怪我を防ぐための細やかな配慮など、より丁寧な解説動画を定期配信しています。
さらに久保田氏は、年間150本を超えるペースで全国の保育園、幼稚園、商業施設を巡回する「くぼたまさと工作ショウ」を精力的に継続。テレビの枠組みを超えて「生で子どもたちに工作を教える旅人」として活動しています。現場を取材した教育関係者は、「舞台に登場した瞬間、30年前と全く変わらない甲高い声とキレのある動きで子どもたちを一瞬で惹きつける。まさに職人芸の極致」と舌を巻きます。
牛乳パックのブーメランや紙コップロケットといった『つくってあそぼ 歴代工作』の数々は、デジタル全盛の2026年においても、親子が顔を突き合わせて楽しむ最高のアナログコミュニケーションツールとして再評価されています。
【メディア教育学・心理学的分析】デジタルネイティブ時代に手作り工作がもたらす価値
タブレット学習や知育アプリが乳幼児期から浸透している現代において、なぜ『つくってあそぼ』が提示した手作り工作の体験が再び見直されているのでしょうか。発達心理学およびメディア教育論の観点から、その構造的な意義を分析します。
発達心理学におけるピアジェの理論が示すように、幼児期の脳発達には「手指を使ったフィジカルな試行錯誤」が不可欠です。画面をタップしたりスワイプしたりするデジタル操作では、紙を切る抵抗感、セロハンテープの粘着力、輪ゴムを引っ張ったときの張力といった「物質のリアルな物理法則」を体感することはできません。
ワクワクさんが教えていた工作の神髄は、「切る・折る・貼る」という微細運動(ファイン・モータースキル)の反復と、それに伴う「失敗のリカバリー」にありました。「曲がって切ってしまったらどう修正するか」「うまく飛ばないときはどこを補強するか」という泥臭い問題解決プロセスこそが、子どもの自己効力感と空間認識能力を育む土台となっていたのです。
【プロの結論】家庭で工作を取り入れるべき人・慎重になるべき人の判断基準
現代の家庭において、工作を通じた教育的アプローチを取り入れる際には、親の関わり方に明確な分かれ道が存在します。
【向いている家庭・推奨されるシーン】
完成度の高さを求めず、「散らかること」や「失敗すること」を肯定できる環境です。子どもがハサミをぎこちなく使っていても手を出さず、じっと待てる親であれば、工作は最高の探求学習となります。廃材がおもちゃに変わる経験は、創造的な自信(クリエイティブ・コンフィデンス)の獲得に直結します。
【慎重になるべき家庭・注意が必要なポイント】
親が完璧主義に陥り、「見本通りにきれいに作らせよう」と過剰に介入してしまう家庭です。大人が先回りして手を出してしまうと、工作は単なる「親の満足のための作業」に成り下がり、子どもの主体性を奪う危険性があります。まずは安全管理だけに徹し、子どもの自由な造形を見守る心理的バウンダリー(境界線)を保つことが求められます。
【つくってあそぼ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『つくってあそぼ』の過去の放送を再放送や配信で視聴する方法はありますか?
A1:NHKオンデマンドやNHKプラスで全話が常時配信されているわけではありませんが、NHKアーカイブスの「NHK名作選」にて一部の代表的な放送回やハイライト映像を視聴可能です。また、過去に発売されたベストセレクションDVDや、久保田雅人氏の公式YouTubeチャンネル『わくわくさんの工作教室』にて、当時のエッセンスを受け継いだ工作動画を無料で楽しむことができます。
Q2:ワクワクさんの年齢と本名、現在の肩書きを教えてください。
A2:本名は久保田雅人(くぼた まさと)氏で、1961年8月8日生まれの64歳(2026年時点)です。現在は舞台俳優、タレント活動と並行して、造形作家、YouTuber、日本各地の幼児教育イベントを飛び回る工作パフォーマーとして第一線で活躍しています。
Q3:番組で紹介されていた工作の作り方や型紙は現在も入手可能ですか?
A3:当時NHK出版から発行されていた番組連動ムック本は絶版となっているものが多いですが、久保田氏の著書(『ワクワクさんの工作教室』関連書籍)や公式YouTubeにて、牛乳パックやトイレットペーパーの芯を使った歴代工作の詳しい作り方が実演付きで公開されています。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
『つくってあそぼ』が残した最大の遺産は、高価な既製玩具がなくても「人間の手と身近な廃材があれば、無限の遊びを生み出せる」という普遍的な真理でした。23年の歴史に幕を閉じた背景には教育トレンドの移行がありましたが、番組が培ったクラフトマンシップの精神は失われていません。
画面越しのバーチャル体験が飽和する現代だからこそ、自分の手でハサミを握り、セロハンテープを貼り、失敗しながら形にしていくフィジカルな工作体験の価値はますます高まっています。ワクワクさんがYouTubeや巡回ステージで撒き続けている「創る楽しさの種」は、かつての子どもたちが親となった今、確かな手応えとともに次の世代へと受け継がれています。 (出典: つくっ て あそぼ(Yahoo!ニュース))